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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
その言葉に、神依は再び頭を下げる。
けれどもそれが礼なのか謝罪なのか……神依には分からなかった。ただ頭の中には過去の日嗣の幻影があって、どうしたらいいのか……それもまた分からなかった。
「あの……禊。そういえば、日嗣様は」
「……いささか、事が大きくなり過ぎてしまいましたので。高天原、豊葦原と……国元全てに影響が及び、あの後は天津神、国津神とも高位の神々は事後処理に奔走なさっていたようですが。
ただ……間違いなく、神は成りました。御令孫ならば、あの場で荒ぶる御霊を再び絶つこともできました。しかしそれをなさらなかったのは、水霊への慈悲と貴女様への信頼であったはずです。もう少し落ち着けば、きっと……お褒め下さるでしょう」
「……、……うん」
神依は曖昧な記憶と禊の言葉を結び付け目を伏せる。日嗣の張り詰めた声だけは、しっかりと耳に残っていた。
「私……あの龍と約束したの。また花を捧げるって」
「はい。体調が戻られましたら進貢に参りましょう。ですが、今しばらくはお休みを。それとも何か……お召し上がりになりますか」
「ん……。そういえば、……お腹減った」
その、少し恥ずかしそうに紡がれた神依の言葉にほうと部屋の空気が和らぐ。
けれどもそれが礼なのか謝罪なのか……神依には分からなかった。ただ頭の中には過去の日嗣の幻影があって、どうしたらいいのか……それもまた分からなかった。
「あの……禊。そういえば、日嗣様は」
「……いささか、事が大きくなり過ぎてしまいましたので。高天原、豊葦原と……国元全てに影響が及び、あの後は天津神、国津神とも高位の神々は事後処理に奔走なさっていたようですが。
ただ……間違いなく、神は成りました。御令孫ならば、あの場で荒ぶる御霊を再び絶つこともできました。しかしそれをなさらなかったのは、水霊への慈悲と貴女様への信頼であったはずです。もう少し落ち着けば、きっと……お褒め下さるでしょう」
「……、……うん」
神依は曖昧な記憶と禊の言葉を結び付け目を伏せる。日嗣の張り詰めた声だけは、しっかりと耳に残っていた。
「私……あの龍と約束したの。また花を捧げるって」
「はい。体調が戻られましたら進貢に参りましょう。ですが、今しばらくはお休みを。それとも何か……お召し上がりになりますか」
「ん……。そういえば、……お腹減った」
その、少し恥ずかしそうに紡がれた神依の言葉にほうと部屋の空気が和らぐ。

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