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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
「此度の働き、真に大儀であった──嵐が起きた時は気を揉んだが、儂の眼も間違いなくお主の晴れ姿を見ておったぞ」
「主無き家は帆の無い舟も同じ。見事なる神生みと無事のお帰り、まずは心より言祝ぎましょう」
「鼠軼様、鼠英様……ありがとうございます」
神依は禊に支えられながら姿勢を正し、本当に感謝の気持ちを持って頭を下げる。
それを受けて、鼠軼は長い髭を撫でながら言葉を続けた。
「実はあの後、一柱の神が参ってな。曰く元の住み処に嫌気がさして、我が家の軒先を貸して欲しいと」
「えっ──神様が?」
「女神でした。供え物は酒と米、それからあなたが禊から貰う菓子で一番気に入ったものが良いと」
「……!」
それを聞いた神依は、あの神楽殿で出会った女郎蜘蛛を思い出して目一杯頷く。彼女には──多分たくさん、助けられた。
「蜘蛛神も、色々と思うところがあったのじゃろう。しかし此度のことで、信仰を忘れそれこそ女郎と成り果てた巫女達も神の神たる由縁を思い知ったであろう──神依」
「……はい」
「恐れたであろう。辛かったであろう。しかしよくやった。──神が増え、我が家が賑やかになるのは儂も嬉しいぞ。願わくは、次はお主の胎(はら)より生まれし子の声で、全ての部屋が満ちるように」
「……鼠軼様」
「主無き家は帆の無い舟も同じ。見事なる神生みと無事のお帰り、まずは心より言祝ぎましょう」
「鼠軼様、鼠英様……ありがとうございます」
神依は禊に支えられながら姿勢を正し、本当に感謝の気持ちを持って頭を下げる。
それを受けて、鼠軼は長い髭を撫でながら言葉を続けた。
「実はあの後、一柱の神が参ってな。曰く元の住み処に嫌気がさして、我が家の軒先を貸して欲しいと」
「えっ──神様が?」
「女神でした。供え物は酒と米、それからあなたが禊から貰う菓子で一番気に入ったものが良いと」
「……!」
それを聞いた神依は、あの神楽殿で出会った女郎蜘蛛を思い出して目一杯頷く。彼女には──多分たくさん、助けられた。
「蜘蛛神も、色々と思うところがあったのじゃろう。しかし此度のことで、信仰を忘れそれこそ女郎と成り果てた巫女達も神の神たる由縁を思い知ったであろう──神依」
「……はい」
「恐れたであろう。辛かったであろう。しかしよくやった。──神が増え、我が家が賑やかになるのは儂も嬉しいぞ。願わくは、次はお主の胎(はら)より生まれし子の声で、全ての部屋が満ちるように」
「……鼠軼様」

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