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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
 食べるというのは生きる力そのものだ。それを体が求めるならば、また──すぐに元気になるだろう。
 そうして神依はまた昨日までと同じように三人で食卓を囲み、禊が体を気遣って柔く煮込んでくれた雑炊をおかわりして──その後は深夜に目を覚ますまで、再び布団にくるまって疲れを癒す深い眠りについていた。

***

 「……」
今夜は一段と朱の楼閣の方が賑わっている。空気にも、その歓声と緋や橙の明かりが滲んでいた。
 荒ぶる龍神の嵐に被害を被り、そこかしこの柱にひびが入ったり手摺が剥がされているというのに──そこで酒盛りとは酔狂なものだと日嗣はどこか冷めた面持ちでそれを眺め、また足早に祖母の坐す神宮へと足を向けた。
 たちの悪い酒飲みに見つかって、引き留められては敵わない。好色に神依のことを問われるのも、それを面白おかしく語られるのも予想できて、嫌な気分になる。
 だが敢えて言うならば……死人が出なくて本当に良かった。もしそんな中で酒盛りでもしていようものなら、また自分は怒りに任せて魂を荒ぶらせてしまうかもしれない。
(……)
 実は今回のことは、高天原では二分に評価の分かれるところだった。
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