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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第9章 穂向け
「禊──禊!! 儀式は!? 御霊祭はどうなったの!? 私──私、は」
「大丈夫です──大丈夫ですから、落ち着いて下さい。まだ動かないで」
「だって……ッ!!」
だって、と繰り返し顔を歪め、ぽろぽろと涙を流し泣き始める神依に、禊はその背を優しく撫でる。それは親が子にするように、優しく、優しく。
 言葉も無く根気強くそれを重ねれば神依は余計に泣きじゃくり、禊の胸に顔を埋めてその小さな肩を震わせた。
「……ですからその程度……可愛いものだと申し上げたでしょう。……残念ですが、あれが淡島の現状です。貴女にはそれを知って欲しくなかった」
「……禊」
「そして私は禊として、貴女の身と心を害するあらゆるものから貴女を遠ざけなければならなかったのに。……お守りできず……申し訳ありませんでした」
「……っううん……違うの……。やっぱり私がいけなかったの、ごめんなさい……。私……あの時たくさんのことが分かったの。禊も童も、そうやってたくさん助けてくれたのに、私だけが気付かなくて。……ごめんね。無責任なこと言って、ちゃんとできなくて……ごめんね」
「神依様……」
ぎゅう、とすがるように衣を掴まれ、禊はあの時──白砂の浜から少女を運んだときのことを思い出す。
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