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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 挙げ句の果てに、身勝手な思いから女達を傷付け、遠ざけ、それなのに自分はその女達に救われた。あらゆる場面で情けない無様を晒し、その度に女達に手を差し伸べられて、今ここに立っている。
 そして今でさえ、恋した女に導かれて──。
 (……俺には、劇的な何かをもたらす力などないのに)
 それでもいいのかと心奥で問えば、神依はそれでいいと頷く。それがいいのだと、何のてらいもなく笑って頷いてくれる。約束したでしょう、と。
「……」
それが照れ臭くて目を反らせば、足元は完全に水に浸っていた。
 温い泥の上を流れる、透明な水。
 そこに立つ自分が一体何の神であったのか──思い出せば何とも可笑しくて、自然と顔の筋肉がほころんだ。
 更にその視界に、鬼事をするようにじゃれあう二匹の小魚が飛び込んできて、日嗣の脇を通り抜けていく。
 二匹は日嗣を気にも留めない。振り向いた時にはもう見えなくなってしまったが、それが目指すものは一つしかない。
 「……」
日嗣は二匹が消えた方を眺め続ける。
 片割れ同士だったものは、これからどうなるのだろう。あの満たされない、数多の人の想いはどうなるのだろう。
 あるべきところへ、皆還るのだろうか。それともこの無意識の泥の中で眠り、遣り過ごされていくのだろうか。
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