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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
けれどその仕草に幻にも、黒い真ん丸の瞳や黄味を帯びた鱗、絹糸を束ねたかのような尾が見えた気がして、その痛ましさと健気さに、ああ、よくこんなふうに神依に愛撫をねだっていたなと切なく思い出した。
大人になれなかった、小さな骨の、子供の龍。
「お前も……神依の舞に、誘われたのか?」
日嗣が微かに笑めば、それは答えることなく突然ぱしゃんと大きく跳ね、回遊魚のようにくるくると円を描いて宙に駆け出した。
鉄の大蛇の波をかいくぐり、また少し先で止まっては、日嗣の方を向いて跳ねる。
──何かを伝えようとしている?
それに日嗣が気付けば骨の子龍は再び宙で回転して、眼下の泥の大蛇を目指して一直線に泳ぎ始めた。
「待て、お前は──」
日嗣は反射的に、それを追う。鉄の大蛇がそのうねりを弱め道を開け、日嗣が宙に躍り出れば、その動きを察した泥の大蛇が最後の抵抗にと全身を使って襲い掛かってきた。
もう無事な頭は一つもない。頭も尾も区別できないほど泥の大蛇は崩れ、到底生き物ではない様で水の中をのたうち回っていた。始父の欠片を宿すものも、もはやどれか見分けがつかない。その思考が正常なものなのかも、日嗣には判らなかった。
大人になれなかった、小さな骨の、子供の龍。
「お前も……神依の舞に、誘われたのか?」
日嗣が微かに笑めば、それは答えることなく突然ぱしゃんと大きく跳ね、回遊魚のようにくるくると円を描いて宙に駆け出した。
鉄の大蛇の波をかいくぐり、また少し先で止まっては、日嗣の方を向いて跳ねる。
──何かを伝えようとしている?
それに日嗣が気付けば骨の子龍は再び宙で回転して、眼下の泥の大蛇を目指して一直線に泳ぎ始めた。
「待て、お前は──」
日嗣は反射的に、それを追う。鉄の大蛇がそのうねりを弱め道を開け、日嗣が宙に躍り出れば、その動きを察した泥の大蛇が最後の抵抗にと全身を使って襲い掛かってきた。
もう無事な頭は一つもない。頭も尾も区別できないほど泥の大蛇は崩れ、到底生き物ではない様で水の中をのたうち回っていた。始父の欠片を宿すものも、もはやどれか見分けがつかない。その思考が正常なものなのかも、日嗣には判らなかった。

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