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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 その姿形に惑わされ、一度は泥土の大蛇と存在を見誤った神。しかし神依は“本物”の声を聞き分け、己の過ちに気付いた。そして巫女として、紛い物を打ち砕くべく、その言葉と神威を信じたのだ。
 世にないものを新たに産む、その威がどれほどのものか──もはや語るべくもない。
 ただ不幸にもその神は、和合する対のものを持たなかった。生を受けた後、いつまでも満たされることのない魂は餓えて暴れ、その結果、治めることをしなかった河川は氾濫を起こした。
 なまじ神としての力が大きかったばかりに、被害もまたそれに比例した。大量の水や土砂は大地を乱して人命を脅かし、また生き残った者達の糧となる田畑までもを呑み喰らってしまった。
 神はどんな思いで、つがいとなる巫女を求めただろう。しかし命の糧を奪われ、挙げ句に娘を奪われる人々に取ってはそれは、恐るべき異形の化け物でしかなかった。素戔鳴でさえ酒を捧げ奉った神を、人はその本質を語ることなく、忘れた。
 「……」
手にした剣から流れ込む、荒と和(にぎ)の感情。
 しかし今だけは、一人の巫女が向かい合う相槌として幾重にも幾重にも舞を織り重ね、その鉄(くろがね)の魂を精錬していく。
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