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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 世界に満ちていた禍津霊達は、炎も水も、遊ぶ神々によって少しずつ浄められていく。けれども──満たされない想い、癒されない想い、不確かな想い──あらゆる悲憤を贄の少女で埋めようとしていた泥の大蛇はその贄の反乱に怒り狂い、目の前に在った男の希望ごと少女を喰らおうと蠢いた。
 この先も、恋した女と共に生きるのだという──この場に渦巻く欲望の中で最も淀みなく生に近い欲を喰らい、自分よりもその男を選んだ少女を喰らい、そのどちらもを闇の中で延々と嬲り尽くす。命を奪うだけでは足りない。自分可愛さに互いが互いを見捨て、見下げ、命乞いをするまでいたぶり、懇願させ、奴隷のように飼い殺す。本当に飽きて棄てたくなるまで、何百何千の年月をむしゃぶり尽くしてやろうと思った。
 大蛇は泥に溶け込むようにずるりと、あたかも自らも消え行くように忍ぶ。しかしその瞬間は一撃必殺を狙う肉食獣のように勢いよく、獲物目掛けて泥の中から飛び出した。
 それに遅れて気付いた日嗣は再び剣を構える。その遅れに瞬き後悔したが、しかし──
「な──」
その瞬間は寸でのところで、思いもよらない形で阻止された。
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