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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
【6】

 同時に美しい所作で五色の布がすくわれる。
 闇と泥濘(でいねい)の世界を炎が照らし、風が雨を呼び……だがその天動にも揺らがぬ厳の舞台で高らかと、黄金の鈴が掲げられる。
 そして──しゃあん、と。
今この世にある全ての音をその一振りで収束させて、神具の鈴の音は黄泉の空に響き渡った。
 泥の大蛇も、日嗣も。そこに在った全ての神の眼差しが一人の巫女に向けられる。
 生き物もそうでないものも、世界の時が止まったかのように、一人の巫女を注視する。
 異なる威を持つ女神と共に、死と破壊とを宿す大蛇にも圧されぬ神を降ろし、神の一柱となって舞う巫女を。
 鈴の音と共にその女神達の袖がはためき、白い腕がしなやかに空を奉る。風と戯れる裳裾の下で爪先が地に捧げられ、緩やかに拍が刻まれる。
 乾坤──天地(あめつち)を脈動させる、銀蛇(ぎんだ)の舞。
 その洗練された舞は指先まで意味ありげに、袖や裾に遊ばせる風さえ操り神を誘う。
 あの時と同じだ、と日嗣は思う。
 まるで世界そのものを吸い込むように、普段は自らが神であることを忘れているような端々の神の魂さえ目覚めさせ、依らせ、自らを花芯として世界を花開かせる。
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