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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 その深い深い、悠久の時を宿すような寂(さ)びた黄金が、神依に見覚えがないわけがない。
 手の中にあるそれは、御霊祭の朝、確かに自らが一度握り、落とし。後は斎水分神の住まう水の森に沈み、その水の流れによって清らかな調べを奏で……黄泉に来てからは夢うつつに一度だけ、その音を聞いたような気がする。巫女が持つことを許された、古からの神具。
 あの特別な、神楽鈴だった。
 「な……どうして、これが」
こんなところにあるのか、と神依は呆けたように二柱の女神と鈴を見比べる。
 それはもちろん、日嗣が持ち運んでいたからなのだろうが──よくよく見れば柄から伸びる五色の帯だけが変わっていて、それは何とかその色を分けてはいたが、つぎはぎしたようにまだらで格好悪い。なのに手にすくえば、何故かまた涙が滲んだ。
(……あ、……あれ?)
それと共に、これもまた何故か分からないまま、今しがたまで自分を取り囲んでいた禍津霊や、手を叩いて嗤う女達や、火傷の痕が思い浮かぶ。思い出したくもないのに、……でも今は何故か、思い出さずにはいられなかった。
 まだらに群れたものはいつも、悲しい言葉しか神依には与えてくれなかった。神依の苦しみを共有してくれなかった。
 でも……これは違う。
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