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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
そうでないものもあると分かったから、もう平気に思えるような気がした。
 「みんな……」
それ以上言葉にできない何かがこみあげてきて、ついに頬に涙がこぼれた。するとやはりどこか遠慮がちに、乞うように優しい影が呟く。
『……それを見て涙を流してくれるなら……あなたは巫女で、あるべきだわ。だからどうか、あなただけは。……あなただけはどうか、私達を見誤らないで』
「……」
それがどんな思いで紡がれたか、神依は知っている。
『……何かを得ようとするなら、目を開いて。花が自ら咲くことを拒むのはおやめなさい。……私から、あの方を奪うのでしょう。私の子から、父を奪うのでしょう。なら、背筋を伸ばしてしゃんとして。
この玉や衣は本当に軽くはないから──花の重みに枝が逆さに垂(しだ)れても、人も神をも楽しませ、それでも折れぬと鮮烈に、天にも地にも刻みなさい。そして──無事に戻ったのなら、私の前で今度こそその黄金の実りを垂らしなさい。詫びるのじゃなく、どうか誇って。冬を越し、世界を違えて、それでもなお恋をしたのだと、二人で私に咲(わら)い誇りなさい。
……待っているから』
「……」
そして焔を纏う影が、それをどんな思いで紡いでくれているか──自分は知らなければならない。
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