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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
もっと素直に言葉を紡ぐなら……こんな時にも関わらず、神依は馬鹿みたいに「日嗣を取られてしまう」と思ったのだ。
いや、そもそも取る取らないと言うならどちらが悪いか明白で、そんなことしか考えられなかった自分にまた卑屈さが増した。
(……私、いつからこんな嫌なふうになったんだろう)
少なくとも御霊祭の夜は、まだそうじゃなかったのに。日嗣様と一緒なら、御前にだって平気で進めると思っていたのに──と、神依は散々頭の中で愚図り、唇をきゅっとつぐむ。
──けれどもそんなことすら目の前の女神はお見通しだったようで、「少女」からまた違うものに変わりつつある若い巫女に、くすりと笑んでみせた。
『あなたは本当に、……あの方と、恋をしたのね』
「……」
『ずるい、……くらい、いい恋を』
「……?」
その不自然な言葉の接ぎ目に神依がようやく顔を上げれば、女神はすらりとした眉を困ったように垂れ、微笑んでいた。……寂しそうな……うらやましそうな。何かを抑え、隠しているような顔。
「……あ」
『……』
しかし神依が口を開き掛けると、女神はそれを制するように再び顔を覇気あるものに変え、先程拾っていた焦げた袋をすっと差し出してきた。
いや、そもそも取る取らないと言うならどちらが悪いか明白で、そんなことしか考えられなかった自分にまた卑屈さが増した。
(……私、いつからこんな嫌なふうになったんだろう)
少なくとも御霊祭の夜は、まだそうじゃなかったのに。日嗣様と一緒なら、御前にだって平気で進めると思っていたのに──と、神依は散々頭の中で愚図り、唇をきゅっとつぐむ。
──けれどもそんなことすら目の前の女神はお見通しだったようで、「少女」からまた違うものに変わりつつある若い巫女に、くすりと笑んでみせた。
『あなたは本当に、……あの方と、恋をしたのね』
「……」
『ずるい、……くらい、いい恋を』
「……?」
その不自然な言葉の接ぎ目に神依がようやく顔を上げれば、女神はすらりとした眉を困ったように垂れ、微笑んでいた。……寂しそうな……うらやましそうな。何かを抑え、隠しているような顔。
「……あ」
『……』
しかし神依が口を開き掛けると、女神はそれを制するように再び顔を覇気あるものに変え、先程拾っていた焦げた袋をすっと差し出してきた。

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