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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
「……」
優しい影に促されて前に出れば、焔を纏う影もまた神依の前に歩み出る。
大蛇を透かし、揺らぐ空気にうっすらと結ぶ女性の像。──それは──見たこともないくらい、美しい女性の。
(……違う……、私は、知ってる。……この人を、知ってる。……見たことがある)
そしてそれに気付いた神依は、今度は別の恐れを持って女性から目を背けうつむいた。
朧気な姿の中にも見出だせる、……失せることのない女性の煌めき。初めてこんなに間近に見るその女神は、神という美しい種族に生まれながらその中でも際立った姿形を持ち、それに加えて今なお日嗣ぎの皇子の妃として在って、玉も衣も自分とは比べ物にならない。その佇まいも若い雄鹿のように凜としてあって涼やかで、けれどもそれが、女性らしい優美さやたおやかさを邪魔するものではないことを初めて知った。
何もかもがまるで、あの異界から来た一等綺麗な瑠璃杯のように繊細な作り。それに比べたら、自分はせいぜい波に揉まれて角が取れた、つやつや程度にしか認められない丸石だった。
(こんなの……ずるい。どんなに頑張ったって、……やっぱり、私は……)
それは圧倒的な劣等感と自分への羞恥で、前にその姿を“視た”ときよりも遥かにその思いは増してした。
優しい影に促されて前に出れば、焔を纏う影もまた神依の前に歩み出る。
大蛇を透かし、揺らぐ空気にうっすらと結ぶ女性の像。──それは──見たこともないくらい、美しい女性の。
(……違う……、私は、知ってる。……この人を、知ってる。……見たことがある)
そしてそれに気付いた神依は、今度は別の恐れを持って女性から目を背けうつむいた。
朧気な姿の中にも見出だせる、……失せることのない女性の煌めき。初めてこんなに間近に見るその女神は、神という美しい種族に生まれながらその中でも際立った姿形を持ち、それに加えて今なお日嗣ぎの皇子の妃として在って、玉も衣も自分とは比べ物にならない。その佇まいも若い雄鹿のように凜としてあって涼やかで、けれどもそれが、女性らしい優美さやたおやかさを邪魔するものではないことを初めて知った。
何もかもがまるで、あの異界から来た一等綺麗な瑠璃杯のように繊細な作り。それに比べたら、自分はせいぜい波に揉まれて角が取れた、つやつや程度にしか認められない丸石だった。
(こんなの……ずるい。どんなに頑張ったって、……やっぱり、私は……)
それは圧倒的な劣等感と自分への羞恥で、前にその姿を“視た”ときよりも遥かにその思いは増してした。

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