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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
その柔らかさは、声も変わらない。そしてどこか遠慮がちに、「いいこ、いいこ」とそんな言葉が聞こえてきそうな具合にたどたどしく頭を撫でられて、神依はぱちくりと目をしばたたかせた。
『大丈夫。……間違えなければ、火だって怖いものじゃないわ。えぇと……そう。温かいご飯は、美味しいでしょう。温かいお湯も、好きでしょう? あと温かいお布団……は、違うかしら。……あ、ううん。でも火熨斗(ひのし)や湯たんぽを使えばいいんだもの。やっぱり、火でしょう?』
「ご飯……お風呂?」
あまりにこの場に似つかわしくない、なのに一番現実感が伴うその言葉は、神依の中にするりと溶け込む。だってそれは、黄泉国でずうっと自分が求めていたもの。そしてそれらは全て、火がもたらしてくれるものだと──他人から言われて初めて認識して、神依は何だかよく分からない不思議な感覚に陥った。
(……じゃあ私は本当は、火が欲しかったの?)
だから土雲というそれを与えてくれる者達が現れ、またここに導いてくれたのだろうか?
まるで卵と鶏を論じるようなあべこべな感覚。
けれどもそれでようやく気分が落ち着いて、おそるおそる背後を見れば、もう一つの影があのでこぼこの石の間から何かを拾いあげているところだった。
『大丈夫。……間違えなければ、火だって怖いものじゃないわ。えぇと……そう。温かいご飯は、美味しいでしょう。温かいお湯も、好きでしょう? あと温かいお布団……は、違うかしら。……あ、ううん。でも火熨斗(ひのし)や湯たんぽを使えばいいんだもの。やっぱり、火でしょう?』
「ご飯……お風呂?」
あまりにこの場に似つかわしくない、なのに一番現実感が伴うその言葉は、神依の中にするりと溶け込む。だってそれは、黄泉国でずうっと自分が求めていたもの。そしてそれらは全て、火がもたらしてくれるものだと──他人から言われて初めて認識して、神依は何だかよく分からない不思議な感覚に陥った。
(……じゃあ私は本当は、火が欲しかったの?)
だから土雲というそれを与えてくれる者達が現れ、またここに導いてくれたのだろうか?
まるで卵と鶏を論じるようなあべこべな感覚。
けれどもそれでようやく気分が落ち着いて、おそるおそる背後を見れば、もう一つの影があのでこぼこの石の間から何かを拾いあげているところだった。

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