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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
──絶対にまた焼かれると思った。
気を失って目覚めるまで、その記憶はところどころ欠落していたが、心の底に残る傷痕が神依の凍った思考を溶かした。
「いや、こないで……!! 火は嫌、熱い、怖い……!!」
侵されているわけでもないのに神依は腕を伸ばし、追ってくるわけでもない陽炎から逃げ惑うように宙をかき髪や衣を払う。
ここには櫛名田もいない。禊や童もいない。もしも自分に燃え移ったら、もう誰も助けてくれない。
先ほど声を上げるのをためらったことも忘れて、神依はとにかくその女を遠ざけようとがむしゃらに暴れた。
端から見れば、それは癇癪を起こし暴れる子供のように見えたかもしれない。手が付けられない。
だが──ふ、と。
そんな自分を、突然何かが優しく抱き留めてくれた。
驚き、我に返った神依がそれを見遣れば、そこにもまた陽炎のような、女の形をした揺らぎがあった。けれども自分を抱(いだ)く手は、春の土のような、柔らかくて温かい感触だった。命を凝縮させた、固い種子を包む。
「あ……ぁ」
『落ち着いて、何もしないから。……あの方を救いたいのでしょう。今ここでそれができるのは、もうあなたしかいないの。だから……落ち着いて』
「……」
気を失って目覚めるまで、その記憶はところどころ欠落していたが、心の底に残る傷痕が神依の凍った思考を溶かした。
「いや、こないで……!! 火は嫌、熱い、怖い……!!」
侵されているわけでもないのに神依は腕を伸ばし、追ってくるわけでもない陽炎から逃げ惑うように宙をかき髪や衣を払う。
ここには櫛名田もいない。禊や童もいない。もしも自分に燃え移ったら、もう誰も助けてくれない。
先ほど声を上げるのをためらったことも忘れて、神依はとにかくその女を遠ざけようとがむしゃらに暴れた。
端から見れば、それは癇癪を起こし暴れる子供のように見えたかもしれない。手が付けられない。
だが──ふ、と。
そんな自分を、突然何かが優しく抱き留めてくれた。
驚き、我に返った神依がそれを見遣れば、そこにもまた陽炎のような、女の形をした揺らぎがあった。けれども自分を抱(いだ)く手は、春の土のような、柔らかくて温かい感触だった。命を凝縮させた、固い種子を包む。
「あ……ぁ」
『落ち着いて、何もしないから。……あの方を救いたいのでしょう。今ここでそれができるのは、もうあなたしかいないの。だから……落ち着いて』
「……」

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