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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
神依の脳裏には嫌な光景が過る。
(……あの子みたいに……)
子龍のように、食われるのか。そうでなければあの巨大な蛇にずるりと呑まれて、そしたら人は、一体どんな形になるのだろう。
それを考えたら頭の中がざらざらと凍てついて、全身の血が一気に引くのを感じた。足や手の指が冷たくなって、なのに汗が滲み出る。自分が何を握っているのかも分からずその感覚さえも無くなって、外套の中の温度は一気に冷え込み今さら真冬の温度に凍えた。
何かが、自分から遠ざかっていく。
「ひ……ひ、……ぎ、さま」
それがとても恐ろしくて、寂しくて、神依は必死に男を呼ぼうとする。
ほんの少し前、ほんの少し前はその腕に抱かれ身を寄せ合っていたのに。だからまたあの大きな手でぎゅっとして、ただ笑顔で、穏やかに名前を呼んで欲しいのに。
体の震えに呼応するようにかちかちと歯が鳴り、必死で絞り出した声も、自分で分かるほど小さくて意味をなさない。もちろんそれが男に届くはずもなく、奇跡が起こるような前触れなど微塵も無かった。
──そしてそれが分かった時、何かが壊れてしまったかのように、涙がぶわりと溢れた。
(……あの子みたいに……)
子龍のように、食われるのか。そうでなければあの巨大な蛇にずるりと呑まれて、そしたら人は、一体どんな形になるのだろう。
それを考えたら頭の中がざらざらと凍てついて、全身の血が一気に引くのを感じた。足や手の指が冷たくなって、なのに汗が滲み出る。自分が何を握っているのかも分からずその感覚さえも無くなって、外套の中の温度は一気に冷え込み今さら真冬の温度に凍えた。
何かが、自分から遠ざかっていく。
「ひ……ひ、……ぎ、さま」
それがとても恐ろしくて、寂しくて、神依は必死に男を呼ぼうとする。
ほんの少し前、ほんの少し前はその腕に抱かれ身を寄せ合っていたのに。だからまたあの大きな手でぎゅっとして、ただ笑顔で、穏やかに名前を呼んで欲しいのに。
体の震えに呼応するようにかちかちと歯が鳴り、必死で絞り出した声も、自分で分かるほど小さくて意味をなさない。もちろんそれが男に届くはずもなく、奇跡が起こるような前触れなど微塵も無かった。
──そしてそれが分かった時、何かが壊れてしまったかのように、涙がぶわりと溢れた。

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