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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
「……俺、は……」
──謳(うた)うように紡がれたそれは、数ある頭の中でも最も優しく、また最も粘ついた声をして日嗣の耳の中へ侵入してきた。
そして、親指、人差し指、中指、薬指、小指と……意図的に緩慢に、指が添えられる度に命が縮められているのだと分かるように、日嗣の魂を抱く。
もちろん実際に手が、指があるわけではない。声だけ。それだけであったはずなのに、ともすれば今度は、自分の首が落とされるのではないかという錯覚まで日嗣の中に想起させた。先程自分がしたように、少しずつ少しずつ命を削って。
そうでなければ、それは自ら両手を上げて、捧げ奉りたくなるような──甘やかに楽になれる、死への誘(いざな)いだった。
殺す者と生む者、女神と男神は廻り再び、その生と性を元の形に戻していた。日嗣が、回した輪だった。
その輪の上か下か、どちらか自分で選べという。
【5】
そしてそれを目の当たりにしていた神依は、同じように顔色を真っ白に変えて、震えていた。
(日嗣様……日嗣様。どうして)
蛇に巻き取られ身動ぎもしない。もう諦めてしまったのか絶望してしまったのか。
(嫌……それでもいいから、せめて逃げて。そこから離れて……、……でなきゃ、また死んじゃう。……あの化け物に、みんな……)

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