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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
「……なんだ……これは」
その日嗣の唇からは、心の内に収まり切らなかった無情の念が音となって漏れ出る。乾ききった、干からびた枯葉を踏み締めた時のような儚い音。
目の前に現れたのは、もちろん一度は討った首だ。その全てが元通りであるはずもなく、捌いたものは上顎を失い、落としたものはその断面に再び禍津霊を群れさせ頭を裏返しにくっつけたり捻れさせたりして、死に際の苦痛と禍根を日嗣の瞳に刻みつけていた。
だがその大蛇の姿は──そんな恨みがましい姿でなかったとしても、日嗣の戦意を削ぐには充分な光景だった。
互いにたった一つの命を賭けて、互いの想いを千切りあっているのだと思っていた。その末に、繊維の一本でも残っていた者が恋う巫女と結ばれるのだと信じていた。
もつれあうように曲線を描く頭の数を、正確に捉えられていたかというと曖昧な自信しかない。だが、八の首を持つならあと半分だった。ようやく半分まで辿り着いていた。しかし、これでは。
切っても切っても、切っても切っても。
大蛇はなお、この泥の海から生まれ出る。それこそこの一面に広がる、禍津霊の海を干上がらせない限り終わりはない。だが自分には、祖母のような天を繰る力も無かった。
その日嗣の唇からは、心の内に収まり切らなかった無情の念が音となって漏れ出る。乾ききった、干からびた枯葉を踏み締めた時のような儚い音。
目の前に現れたのは、もちろん一度は討った首だ。その全てが元通りであるはずもなく、捌いたものは上顎を失い、落としたものはその断面に再び禍津霊を群れさせ頭を裏返しにくっつけたり捻れさせたりして、死に際の苦痛と禍根を日嗣の瞳に刻みつけていた。
だがその大蛇の姿は──そんな恨みがましい姿でなかったとしても、日嗣の戦意を削ぐには充分な光景だった。
互いにたった一つの命を賭けて、互いの想いを千切りあっているのだと思っていた。その末に、繊維の一本でも残っていた者が恋う巫女と結ばれるのだと信じていた。
もつれあうように曲線を描く頭の数を、正確に捉えられていたかというと曖昧な自信しかない。だが、八の首を持つならあと半分だった。ようやく半分まで辿り着いていた。しかし、これでは。
切っても切っても、切っても切っても。
大蛇はなお、この泥の海から生まれ出る。それこそこの一面に広がる、禍津霊の海を干上がらせない限り終わりはない。だが自分には、祖母のような天を繰る力も無かった。

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