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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 天を戴く女神と、その父神を内包する大蛇の威。元は同じものであったはずなのに、黄泉にわだかまり穢れとなった父神の欠片を、黄金の光は確かに拒んでいる。
 (私は──どうすればいいの)
その天上と地底の神威の狭間で、神依は必死に思考を巡らせた。
 正にその狭間の神々から、あらゆるものを授けてもらった。慈しんでもらった。受け継いだ想いもある。そんな自分にできることは、なんだろうか。
 このままではただ待ち、見守ることしかできない。辺りを見回してみるが、ここには日嗣が打ち捨てたらしい荷と剣の鞘しか残されていない。自分の荷の中には大して武器になりそうなものはないし、迂闊に手を出しては却って日嗣の手間を増やすだけになるかもしれなかった。そしてそれが、互いの命の有無に直結する可能性さえある。
 ……いや、そもそもそれよりも。
 ──自分に何が、できるというのだろう? どうしてそんなことを、思ってしまったのだろう?
 ──自分はただの──どこにでもいるありふれた、ジョシコウセイというただそれだけの生き物なのに。
 (……怖い……、違う。分からない。……助けて。誰か、)
 浸食される意識の中、祈るように空を見上げれば、何本もの大蛇の前に人の形をした神が舞い降りるところだった。改めて見れば髪も衣も、紛い物の男神とは比べられないほどの襤褸(ぼろ)と化していた。けれども、今まさに空から天降ってきたかのように、日嗣は大蛇の前に立ちはだかった。
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