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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 「日嗣様……あの子が。……龍の子が、私を護ろうとして」
「……そうか」
喜びを腕に、哀しみを言葉に託せば、男はその全てを受け止めてくれる。返ってくる言葉が少なくても、男の仕草は雄弁だった。嗚咽に震える神依の体を胸に繋ぎ止め、痛みを癒すように髪や背に愛撫を繰り返して。昏(くら)の男神の暴虐と、時わずかに遅く、恋う女の宝を護ってやれなかった自身への憤りに歯を噛んで。
 慰めの手と憤りの息。
 それでも神依には、男が沢山の心を露にして分かち合ってくれることが嬉しかった。喪ってしまったものも恋しくて、それが二度と元に戻らないものばかりであったことが悲しかった。その全てを男に預ければ、男はその全てを包んでくれた。
 余りに長かった別離の時。その分を取り戻そうと、二人の心は繊細に、また過敏に互いの何もかもを得ようと感応していた。
 だがそれは、本当にわずかな、短い時間──。



【3】

 突如、どう、と天地を震わすほどに巨大な音が爆ぜ、その衝撃に顔を上げた二人の眼下で水飛沫が上がった。
 二人が抱擁を交わしていた石舞台にも地鳴りが届き、巻き起こった風に周囲の木々も枝を揺らし、軋んだ音を立てて幹を仰け反らせていた。
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