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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 奇しくも火傷に憂えていた時のような、むず痒い微熱が体中に蘇り目頭が熱くなる。
 国津神に護られ、根底の者に慈しまれ──そんな地の者であった自分を天に拐ってくれる男は、この世にたった一人。ただ一柱の、この男神しかいないのだ。
 身の内に迸(ほとばし)るのは、世界すら揺り興して賑やかす、忘我の舞のただ中にあるような高揚だけ──。
 そっと目を開けば、鼠軼の珠と何か別の光が合わさって、とても柔らかな光に包まれているのが分かった。男が与えてくれると連ねてくれたもの。ずっと待ち望んでいた、まろやかな豊穣の色──実りのとき。

 そして柔い紙風船を置くように優しく地に降ろされ、膝をついて再び体が重力を取り戻した時──神依は自分を拐ってくれた男の顔を見ようと顔を上げたが、その数秒すら惜しむようにより一層強く抱き留められた。
 男は手にしていた剣を横に投げ出し、臆面もなく追い縋るようにして髪や背を抱いてくれた。外套も荷も全てを巻き込んで、がむしゃらに。
「──神依──神依だな」
すぐには答えられない。いろんな感情が溢れて、それをそのまま男に伝えるようにぎゅっと背を抱き返して頷けば、男もまた感極まった息を大きく吐いて、それから言葉を続けた。
「遅くなってすまない……」
「ううん──嬉しい。来てくれて嬉しい。また会えた……日嗣様。日嗣様……!」
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