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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
そのままずるずると引きずられて、神依はぼんやりとその先のことを考えた。
あの龍の通り道の向こうに、その先の水の中に、男が求める国でもあるのだろうか。
その国で、自分はもう一度火に焼かれるまで嬲られるのだろうか。男の欲にまみれ、男が望む国が出来上がるまでこの男の子を孕むのだろうか。
──それが本当に、いつか母達が笑顔で語ってくれた、自分の未来なのだろうか。
(違う……嫌だ……。……そんなの、嫌だ)
それを想えば、弱々しく引きずられていた指先に再び力が蘇る。
──もう一度。
地に爪を立て、しかしそれに気付いた男は困ったような笑みと小馬鹿にするような笑みを混ぜた顔でしゃがみ、優しく神依の手を取って自分の方に引き寄せると泥の蟲ごと横に抱き上げる。愛玩動物にするように頬を寄せ、唇を触れさせる。
「お前はもう、何も考えなくとも良い……ただ私にこの身を委ね愛を享受し、肉と魂を差し出して、永遠のまぐわいを受け入れよ。私の腕の檻の中でぐずぐずに溶かされ、それが何よりの幸福になるように。そして心まで真に一つになれたなら、その時は」
──共に、生きよう。
男の唇がそう動いて、けれどその姿と言葉にかろうじて自分を取り戻せた神依は、あの時と同じように最後の勇気を振り絞って喉を震わせた。
「……たすけて」
それは目の前の男には、自身に向けられた最後の命乞いに見えたかもしれない。けれど、それでも──神依は声を、絞り出した。
今は、もう、「誰か」ではない。
「──助けて……助けて、日嗣様────!!」
あの龍の通り道の向こうに、その先の水の中に、男が求める国でもあるのだろうか。
その国で、自分はもう一度火に焼かれるまで嬲られるのだろうか。男の欲にまみれ、男が望む国が出来上がるまでこの男の子を孕むのだろうか。
──それが本当に、いつか母達が笑顔で語ってくれた、自分の未来なのだろうか。
(違う……嫌だ……。……そんなの、嫌だ)
それを想えば、弱々しく引きずられていた指先に再び力が蘇る。
──もう一度。
地に爪を立て、しかしそれに気付いた男は困ったような笑みと小馬鹿にするような笑みを混ぜた顔でしゃがみ、優しく神依の手を取って自分の方に引き寄せると泥の蟲ごと横に抱き上げる。愛玩動物にするように頬を寄せ、唇を触れさせる。
「お前はもう、何も考えなくとも良い……ただ私にこの身を委ね愛を享受し、肉と魂を差し出して、永遠のまぐわいを受け入れよ。私の腕の檻の中でぐずぐずに溶かされ、それが何よりの幸福になるように。そして心まで真に一つになれたなら、その時は」
──共に、生きよう。
男の唇がそう動いて、けれどその姿と言葉にかろうじて自分を取り戻せた神依は、あの時と同じように最後の勇気を振り絞って喉を震わせた。
「……たすけて」
それは目の前の男には、自身に向けられた最後の命乞いに見えたかもしれない。けれど、それでも──神依は声を、絞り出した。
今は、もう、「誰か」ではない。
「──助けて……助けて、日嗣様────!!」

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