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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
「嫌、そんなことどうでもいい、わからない!! それより早く、早くその子を返して……返して下さいッ……!」
「遅いわ。体の半分は骨になったぞ。それでも、愛するお前がどうしても欲しいと言うなら──くれてやるが」
「へ……」
なりふり構わず懇願を繰り返す神依の脇に、べしゃりと何かが蹴り出される。
赤と黒の、蠢く肉塊。いつか──どこかで見たような。勾玉と同じ形をしたそれは、なお蛭に貪られて曲線を崩し、もう微動だにしなかった。さらさらとながれていた尾は憎しみを一身に受けた頃の自分と同じように千切られて、ばらばらにされて。
「……あ」
そしてその肉の塊からやけに色鮮やかな桃色のふくらみと白い破片が覗いた時、何故か神依は笑ってしまった。
何かが心の中で壊れて、あまりに過ぎた恐怖と絶望は人を人で無くすのだと理解した。
もう、ここには誰もいない。この壊れた男神と自分以外、誰もいない。先程と同じ、真っ白な空間に一人投げ出されたような心地になって、涙が溢れた。笑っているのに、涙は止まらなかった。
そんな神依を、男神が笑って見下ろしている。
男神はもう自身では抑えきれないような欲望を巨大な大蛇の姿へと変え背に纏い、それらは全て、ゆらゆらと頭をもたげて神依を見つめていた。時折神依をからかうように血色の舌をちろちろと覗かせて、それらは神依を芯にとぐろを巻く。
「遅いわ。体の半分は骨になったぞ。それでも、愛するお前がどうしても欲しいと言うなら──くれてやるが」
「へ……」
なりふり構わず懇願を繰り返す神依の脇に、べしゃりと何かが蹴り出される。
赤と黒の、蠢く肉塊。いつか──どこかで見たような。勾玉と同じ形をしたそれは、なお蛭に貪られて曲線を崩し、もう微動だにしなかった。さらさらとながれていた尾は憎しみを一身に受けた頃の自分と同じように千切られて、ばらばらにされて。
「……あ」
そしてその肉の塊からやけに色鮮やかな桃色のふくらみと白い破片が覗いた時、何故か神依は笑ってしまった。
何かが心の中で壊れて、あまりに過ぎた恐怖と絶望は人を人で無くすのだと理解した。
もう、ここには誰もいない。この壊れた男神と自分以外、誰もいない。先程と同じ、真っ白な空間に一人投げ出されたような心地になって、涙が溢れた。笑っているのに、涙は止まらなかった。
そんな神依を、男神が笑って見下ろしている。
男神はもう自身では抑えきれないような欲望を巨大な大蛇の姿へと変え背に纏い、それらは全て、ゆらゆらと頭をもたげて神依を見つめていた。時折神依をからかうように血色の舌をちろちろと覗かせて、それらは神依を芯にとぐろを巻く。

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