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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
このままでは、妻どころかただの慰みものにされる。
 男が持つ異常な執着はもはや愛情の度を越しており、それが話が通じない原因だったことに、神依は今更気付いた。
 ──なら、逃げるしかないのではないか。
 どうしてこんな場所に来てしまったんだろうと一瞬後悔して、しかしそんな暇もなく──嫌、と拒絶の息を吐きながら必死で衣をかきむしり身をよじるが、それらはしつこくしつこく神依に絡み付いてくる。それどころか体はずるずると、男の──その背後にある箱の龍の通り道や池の方に引きずられていた。
 「嘘、やめて……放して!!」
それに気付いた神依は地に生えた草や露出した石を掴んで必死に抵抗する。
 あの龍に喰われたら。あの池に沈められたら。そんな恐ろしい光景が思い浮かんで、それこそ地を這って逆の方へ逃れようとするのだが、その間にも男は迫る。一方蛭は草や石の隙間を埋めるように神依の指や手を舐め取り、男神へ捧げ奉る貢ぎ物として、着実に神依の抵抗を削ぎ落としていた。
 そして……今はもう、体も心も穢れに呑まれかけた男神の欠片は、
「……ミ依。お前は本当に、そういう無様な姿がよく似合うな。可哀想に」
まるで神依を嬲るようにゆっくりとした動きで、その傍らに跪いた。
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