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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 その足元から這い出る蛇の、あの退化した目なき目と横に裂けた口は嘲りの笑みを浮かべたようで──あの時と同じ欲望を向けられていることが分かった神依は恐怖に体を震わせた。淡島に生まれ出る前、一糸纏わぬ姿で海の中に在った頃……いいように体を弄ばれ、自分はそれに抗い切れなかった。
 「──っ」
そのおぞましい記憶から、神依はほとんど無意識の内に逃げ出そうとして踵を返すが、しかし蛭の絡んだ足ではそれもままならず、そのまま地面に倒れこんでしまった。
 それに泥の闇は歓喜したように蠢き、神依を呑み込もうと至るところにむしゃぶりつく。髪や頬や、耳や背や、首や肩や、腕や指や、乳房や腹や、腰や太もも。足首を掴んでいた細い触手も足を伝い、体の線を上へ上へとなぞっていく。まるでそれ自体が男の指や舌であるかのように、蛭は布と布の隙間を縫い、肌の上をぬらぬらと這いずり回る。
 「いやああっ! ……気持ち悪い……!!」
自分の全てを知られているような動きで、全身に悪寒が走り、肌が粟立つ。嫌だ、と男を見上げれば、男は冷酷なまでに美しい笑みで神依を見つめており、まるで見せ物を楽しむかのように、愉悦の色をその眼差しに含ませていた。
 (うそ……)
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