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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
***
「っ……」
男の細くすらりとした双眸は、嗜虐的に神依を捕らえる。
神依が息を呑めばそれはなお細まり、雪化粧を施したかのようにその顔(かんばせ)を冷たく、また艶やかにほころばせた。日陰を纏う、紅の花のさま。美しい姿のままに、惜し気もなくぽたりぽたりと命を擲(なげう)つ。
「ミ依──お前が組み敷かれる様は本当に惨めで、だがどこか色を帯びて、聴衆に異様な高揚をもたらす。……贄というのは時に、女にも男にも蠱惑的なものだ。……だから皆、お前を求めて止まない。──こんな風に──」
「ひっ……」
つと男の長い指が闇の中の泥をすくい、ぞわりと神依の頬を撫でる。その塊はびちゃびちゃと耳や首の方にまでまとわりつき、粘度を保ったまま胸元へと落ちた。その感触は何も知らぬまま浴びせられた男の精のようで、それが肥えた蛭に姿を変えてこちらを見上げてきた時、神依はあまりのおぞましさに思わず目をつむった。
しかし何度も何度もそれを塗りたくられ、その内、閉じた瞼の暗闇の中で誰かが何かを話しているのが聞こえた気がした。
誰も彼も、神依の知らない声。だが確かにそこには男も女もいて、知らないはずの言葉なのに、それが執拗に自分に向けられていることだけが分かる。
「っ……」
男の細くすらりとした双眸は、嗜虐的に神依を捕らえる。
神依が息を呑めばそれはなお細まり、雪化粧を施したかのようにその顔(かんばせ)を冷たく、また艶やかにほころばせた。日陰を纏う、紅の花のさま。美しい姿のままに、惜し気もなくぽたりぽたりと命を擲(なげう)つ。
「ミ依──お前が組み敷かれる様は本当に惨めで、だがどこか色を帯びて、聴衆に異様な高揚をもたらす。……贄というのは時に、女にも男にも蠱惑的なものだ。……だから皆、お前を求めて止まない。──こんな風に──」
「ひっ……」
つと男の長い指が闇の中の泥をすくい、ぞわりと神依の頬を撫でる。その塊はびちゃびちゃと耳や首の方にまでまとわりつき、粘度を保ったまま胸元へと落ちた。その感触は何も知らぬまま浴びせられた男の精のようで、それが肥えた蛭に姿を変えてこちらを見上げてきた時、神依はあまりのおぞましさに思わず目をつむった。
しかし何度も何度もそれを塗りたくられ、その内、閉じた瞼の暗闇の中で誰かが何かを話しているのが聞こえた気がした。
誰も彼も、神依の知らない声。だが確かにそこには男も女もいて、知らないはずの言葉なのに、それが執拗に自分に向けられていることだけが分かる。

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