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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
……それにお前は、あれを見てまだ何も気付かないのか?」
「……え?」
絶対など無いと言いながら、神依に絶対の愛情を望む男の眼差しが、神依から反れる。その先に在ったのは、先程からぐるぐると回り続けていた箱の龍の尾。
「──キィッ!」
子龍が鋭く鳴いたのは、神依が同じように視線を反らした直後だった。
「──あっ!!」
神依が異変に気付いた時には、もう遅かった。男の足元から黒い影が滲み、それが細い蛭のように姿を変えて、何本も何本も神依の足に絡み付いていた。
感触で分かる。風呂上がりの皮膚のようなぶよぶよとした質感と、粘り気を帯びた液体。それは間違いなく、あの日──淡島に流れ着いたとき、神依を襲ったものと同じ感触だった。
その蛭は男の中から溢れるように増え、やがては本当に目や口を作り、ずるずると地面から沸き出てはあの時と同じように神依に迫る。男の足もその穢れに呑まれ、まるで同化しているかのように蟲を沸かせていた。
そんなふうに、元が神たるものだからなのか、櫛名田が与えてくれた羽衣もその威を発揮してはくれない。或いはその源が、悪意ではなく愛情だからなのだろうか。
「ミ依」
「──や……こ、来ないで……!!」
粘ついた泥の闇をずるりと引きずって、笑みを浮かべた男は平然と近付いてきた。
「……え?」
絶対など無いと言いながら、神依に絶対の愛情を望む男の眼差しが、神依から反れる。その先に在ったのは、先程からぐるぐると回り続けていた箱の龍の尾。
「──キィッ!」
子龍が鋭く鳴いたのは、神依が同じように視線を反らした直後だった。
「──あっ!!」
神依が異変に気付いた時には、もう遅かった。男の足元から黒い影が滲み、それが細い蛭のように姿を変えて、何本も何本も神依の足に絡み付いていた。
感触で分かる。風呂上がりの皮膚のようなぶよぶよとした質感と、粘り気を帯びた液体。それは間違いなく、あの日──淡島に流れ着いたとき、神依を襲ったものと同じ感触だった。
その蛭は男の中から溢れるように増え、やがては本当に目や口を作り、ずるずると地面から沸き出てはあの時と同じように神依に迫る。男の足もその穢れに呑まれ、まるで同化しているかのように蟲を沸かせていた。
そんなふうに、元が神たるものだからなのか、櫛名田が与えてくれた羽衣もその威を発揮してはくれない。或いはその源が、悪意ではなく愛情だからなのだろうか。
「ミ依」
「──や……こ、来ないで……!!」
粘ついた泥の闇をずるりと引きずって、笑みを浮かべた男は平然と近付いてきた。

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