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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
名を貰ったときも御霊祭のときも──点滅する赤い光の瞳のように、脳裏に女神と語ったときの光景が幾つも過る。
どうして自分なのか、確かにそれを問うたときもあった。その答えを貰った覚えは無かったが、少なくとも男の言うことが“間違っている”ことだけは分かった。神ではなく、母として彼女を信じた神依にそれを疑うことはできなかった。
一瞬玉衣の姿が浮かんだが、しかしそれでも──裏切りという言葉一つではもう彼女を表すことはできない。女神も、玉衣も、櫛名田も、神依がそう呼んだ女達は神依の中では皆等しく、母という何かを宿した女達だった。
──だがそれが、この男神に通じるものなのだろうか。再び遠くへ行ってしまった箱の龍に虚ろなものを感じ、また心のどこかでこの男神に対する諦めを持ちながらも、それでも神依は声を振り絞る。
「──私は私です。私は日嗣様に会うためにここにいるんです。あなたじゃない。……それに、女神様は絶対にそんなことしない」
「女に絶対など無い。故に、お前にもすぐ分かる時が来よう。私と、私の血を薄めただけの者と……どちらがよりお前を求め、お前を愛していたか。そしてそれに気付いた時、お前はまこと、我が妻となる。
どうして自分なのか、確かにそれを問うたときもあった。その答えを貰った覚えは無かったが、少なくとも男の言うことが“間違っている”ことだけは分かった。神ではなく、母として彼女を信じた神依にそれを疑うことはできなかった。
一瞬玉衣の姿が浮かんだが、しかしそれでも──裏切りという言葉一つではもう彼女を表すことはできない。女神も、玉衣も、櫛名田も、神依がそう呼んだ女達は神依の中では皆等しく、母という何かを宿した女達だった。
──だがそれが、この男神に通じるものなのだろうか。再び遠くへ行ってしまった箱の龍に虚ろなものを感じ、また心のどこかでこの男神に対する諦めを持ちながらも、それでも神依は声を振り絞る。
「──私は私です。私は日嗣様に会うためにここにいるんです。あなたじゃない。……それに、女神様は絶対にそんなことしない」
「女に絶対など無い。故に、お前にもすぐ分かる時が来よう。私と、私の血を薄めただけの者と……どちらがよりお前を求め、お前を愛していたか。そしてそれに気付いた時、お前はまこと、我が妻となる。

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