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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
次にその言葉を聞いたとき心の中で何かが弾けて、神依は反射的に男の手をはね除けると慌てて体を引き離した。
 男は本当に瞬きの間不思議そうな顔をしたが、すぐにその瞳と唇とに笑みを作る。冷たい笑みだった。傲慢な笑みだった。それが神依には、ひどく恐ろしいものに思えた。
 「……神依」
神依が離れた分、更に男は歩み寄る。けれども同じ分を神依は後退り、その距離を縮めさせることはしない。そして男に乱された荷や衣を整えると、今度こそ、はっきりと男を拒絶した。
 「来ないで。……あなたは日嗣様じゃない。……あなたはいつまで、ここに留まっているつもりなの?」
「……」
男の表情と、纏う雰囲気が変わる。それは神依を威圧するものに変わり、なのに張り付けたような笑みは変わらなかった。恋しい男の姿をしたそれがとても嫌で、けれども目を反らすことはできない。目を反らす方が怖い。だから神依はじっと男を見つめたまま、今にも駆けて逃げ出してしまいそうな体を戒めて続ける。
「だからあなたには、見えない。あなたが求めるものは、きっともうあなたのすぐ近くにあるのに。あなたの周りに溢れているのに。……だからあなたは早く、あなたのあるべき場所へ還って。私は」
「……」
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