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こじらせてません
第2章 馴致
胸が腕に当たっても、アキラはされるがままにしている。

青信号になった。

少し距離があるから、似ている少年を見間違えているのだろうか。

だが、近づいてくるにつれ、楚々とした美貌が明瞭になっていく。

昨夜、至近距離で眺めた顔に酷似している。

いや、アキラは……不世出の少年は、本当にあんな顔をしていたか?
お気に入りのマンガに登場する少年、そのままのはずだ。

おや、マンガの中の少年はどんな顔だったっけ。
あれだけ他の作品とは桁違いに、何度も読んできたのだから、憶えているはずだ。目鼻、口元。頬から顎のライン。などなど。

なんとなく、だが、頭によみがえった。目の前の少年に似ていなくもない。

いやいや、昨日覗き込んだ目鼻、口元、頬から顎のライン、などなどは、本当に目の前の彼と一致するか。

横断歩道に面した商業施設の入り口のところから、ミサは動かなかった。

動けなかった。
ずっと二人を見ていた。

女の子が、執拗な視線、つまり凝視を感じたか、こちらを向いた。

その目線に誘われて、アキラもこちらを見ると……「あっ」という顔をした。

「どこのどなたですか」というような顔をしてくれればよかったのに、崩れ壊れつつあったゲシュタルトは踏みとどまってしまった。

しかも「あっ」という顔の後に続いたのは、「マズい」という顔に見えた。

女の子は、「何、あの人」というような顔をしている。

目の前に立っている少年がアキラであり、その隣にいるのは、トイレで聞いた女の子に間違いないということを受け入れたミサは、「こっちにおいで」という顔をした。

しがみついた腕からスルリと抜けたアキラを見た女の子が、「え、何なの?」という顔で後をついてくる。

目の前に立ったアキラへ、ミサは片足をやや前に出して斜に立つと、腕組みをし、 聞こえる溜息をついて、「色、何が好きか、送ったんだけど?」という顔をした。

沈黙が続く。

「……」ミサはもう一度溜息をついて、「色、何が好きかメッセージ送ったんだけど」

そう言った。

「あっ、え?」

アキラが慌ててブレザーのポケットを探って、スマホを取り出す。

「ご、ごめんなさい。気づかなくて……」
「そっか」
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