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こじらせてません
第2章 馴致
名前のとおり、光り輝いていたわけではない。
だが今日も、モブの中で奇跡的に彼を見つけた。

彼は二人で歩いていた。

相対的に、隣の人物は遠目でも自分よりもかなり身長が低い。「ちっちゃい」と言える。

相対的に、自分も目は小さくはないと思うが、この女の子の瞳はつぶらで、まさに「クリクリ」としている。

相対的に、惨敗感はまるでないものの、この女の子もまあ美しい人ではある。美しいというか、「カワイイ」と呼ぶにふさわしい感じだ。

相対的に、どのような家に生まれ、どのように育てられて、今どのような集団にいるかしだいだが、「お嬢様」っぽさがにじみ出ている。

相対的に、何を着ているかというのは、その人しだいであるものの、今は制服を着ている。とても似合っていて、首を傾げようもない。

外堀通りの横断歩道の向こう側。
赤信号を待っている間、こちらに気づかず話している。

女の子が爛々と笑った。
アキラも少し笑った。

昨日、アキラを尾行し、お母さんと一緒にいるのを見つけ、安堵した。

だが常識的に考えれば、洗面台の前で話していた者が、アキラのお母さんを、ちっちゃくて、目がクリクリしていて、可愛らしくて、お嬢様っぽい女子高生と見間違えることなど、あるはずもない。

ミサも、それくらいはわかっていた。

昨日はたまたまである。三日前とは、会っていた人物が違うだけだ。そんな自然な考えが、頭をよぎっていた。

だが、尾行なんかしてしまって、まったくの無実だと知らされると、三日前もそうなのもしれない、そうに違いない、そうに決まっている、そう思わなければ呵責に耐えられなかった。

そこへきて、突然会いに来てくれたのである。
思春期の情欲に流されたわけではない、彼女の顔がどうしても見たくて来たのだと言った。

上躯に浴びせられた、烈しく、熱い噴射に真実を感じたからこそ、達してしまった……というのに。

女の子は彼の腕を取り、ピョンと飛びはねて、体を擦りつけた。

もしかしてあの子は、街頭調査員だろうか。実はアンケートの途中。

いや、あそこまでベッタリとしてるのなんて、もう調査にはみえない。だとしたら男性に声をかけ、ああでもしなければ売れぬ何かを売りつける、勧誘だ。

いやちょっと待て、女子高生がそんな仕事するか?
女の子は明らかに擬似JKではない。
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