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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 

 歩いて来るメイドが、わざと足であたしの臑を叩いた。

「邪魔よ、どいてくださらない? それともあなたを愛人にした朱羽さまや、渉さまに言いつけちゃう?」

「くすくす、やめなって。お嬢様なんだよ?」

「いいのよ、世間知らずに現実を教えてあげなくちゃ。私って優しいでしょ」

「ふふふふ、そうね。仕事が欲しいと言ってきたのは、あのお嬢様なんだものね。現実を見て、尻尾を巻いて逃げるといいわ。根性なしだろうから」 
 

 いいよ、やってやろうじゃん。

 鹿沼陽菜、根性だけは負けないんだから。
 今まで困難を突破してきた底力、見せてやる。

 ここを突破出来ないと、美幸夫人の門は開かない気がするんだ。

 この程度のことで挫けるな。


 深呼吸していると、名取川文乃の声が蘇る。


――心頭滅却すれば、火も自ずから涼し。


 ここは火だ。火で熱くて仕方がない。

 だけど……、火に抵抗せず、火と迎合するようにして乗り切れ。

 あたしも、忍月を構成するもののひとつとなってやる。

 ……お嬢様生まれではないことが、きっと……強みになるはずだから。


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「そんなにしたいなら、雑巾がけでもしてくださいな」

 しつこく食い下がるあたしに、面倒臭そうに廊下の雑巾がけをしろという。今の時代、しかもこのお屋敷はモップとかではないのかしら、など思いながら、どうせすぐ音を上げて帰るだろうと嘲笑われているのをひしひしと感じながら、バケツにたっぷりの水と雑巾をもって廊下を拭いていく。

 どうせならどこもかしこもピカピカにしようじゃない。

 長年の一人暮らしと、ムーン時代に色々掃除していた下積み生活を甘くみるんじゃないよ。

 朱羽に色々と愛されて重くなった腰を動かしながら、一階を磨いていく。

 大理石なのか、マーブル模様の床板は磨けば磨くほど艶が出るから嬉しい。ムーン時代は、磨いても磨いてもボロかったから、やりがいがある。

「よしよし、いいぞ!!」


 ……物陰から、ひそひそ言われているのなんて気にしない。

 とにかく綺麗にするのみ!


「ふう、廊下終わ、り……」 


 ガシャーン!!


「あらごめんなさい、ぶつかっちゃったみたい」


 いやいやいや、ぶつかったぐらいでその花瓶は落ちないよ。
 
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