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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon

まあ、予想はしていた。
歓迎はされないと。
しかし現実は、散々だ。
どうしても、上から目線に取られてしまうらしい。
あたしも、名取川さんに養女にして貰ったというのに、使用人の仕事をしようだなんて、かなりのドMだと思う。虐められることに今まで怯えていたくせに、わざわざ虐められに来たようなものだし。
誹謗中傷、軽蔑罵倒。
あたしは、自分で創り出したそれをトラウマにしていた。
だけどそんな事実はないとわかったら、もう怖く思うことはなくて。
怖いと思うのは、自分の心の弱さが見せた幻影。
だからあたしは、頑張れる――。
メイドは十二名。
うち十名が若い子で、二名はベテラン。
ベテランは、専務直々のお願いのために無表情で仕事についてのみ接してくれて、それ以外は完全無視。
このままだと、鍵をかけて閉じこもっている美幸夫人に接することも出来なければ、理解することも出来ない。
ただ美幸夫人を追い出せばいいだけなら、既に当主がしている。
当主があたしの結論を、専務と朱羽が出した提案を呑む条件としたのなら、やはりそれなりに意味があると思うのだ。
――カバ、落ち着いたな。朱羽から俺のプレゼント貰ったな? お前すげぇ顔が強張ってたぞ、凄く緊張してたんだろう。すまないな、お前の肩にかかるような形になって。
出来るだけ笑って普通にしていたけれど、専務にも朱羽にも見抜かれていた、あたしにかけられたものの重さ。
それを朱羽が、あたしの頭の中をえっちな思考と、朱羽への愛情で満たしてくれて、取り除いてくれたから、多分今、あたしは落ち着いているのだろう。
セックスは愛情の確認であると同時に、愛の強さをくれる。
朱羽との強い絆となる。

