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蕩けるようなキスをして
第47章 彼氏彼女
どちらからともなく、歩みが再開される。
急ぐ必要などないから、ゆっくり、ゆったりと。
最初は意識しないと、ついついひとり足早になってしまっていたけれど。
いつしかそれは、しっかりと、身体に刻み込まれた。
隣りを歩く彼女の歩幅がどれくらいで、速さはどの程度なのか。
今では無意識の内に、当たり前のように、肩を並べて歩いてる。
当たり前の日常が一番、幸せ。
彼女の隣りを、明日も、明後日も、ずっと歩いていたい。
繋がられた手と手と眺めつつ、今日こそは、自分が主導権を握るつもりだったのにな-どうでもいい事を、ぼんやり思ってしまう。
かっこなんか今更つけれるはずもないけど。
今日は。
今日だけは、かっこ良く彼女の手を引いて、初デートに向かう予定だった。
実際は、そんな自分が彼女に手を引かれるような形になっている-まあ、ほんと、どうでもいい事かもしれないけれど。
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