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蕩けるようなキスをして
第47章 彼氏彼女
「イヴの日どこに行くかは、後で考えるとしてさ。時間勿体ないし、とりあえずここから出ようか」
思えば、講義が終わってからどこかに行こうと、待ち合わせていたところだった。
すっかり、忘れてた。
いつまでもここにいてはなんだし-カフェテリアを抜け、玄関に向かって歩き出す。
その途中、陸が遠慮がちに尋ねてくる。
「…手、繋いでもいい?」
何を今更-華夜子は訝しげに、陸を見る。
「…今さっきまでだって、繋いでたよね?」
「まあ、そうなんだけど。…歩きながら、華夜と手を繋ぎたいなって」
それだって、いつも繋いでるじゃん-喉まで出かかった台詞は、陸に攫われる。
「…彼女との初めてのデートだから。初めてのデートで、初めて手を繋いで、彼女とふたりで歩けたらいいなって」
落栗色の前髪を掻き上げながら、早口で言い捨てる、恥ずかしそうな陸の顔。
華夜子の胸はいつもの如く、激しく、深く、射抜かれてしまう。
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