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蕩けるようなキスをして
第47章 彼氏彼女
いつもの調子で、なんら気にする事なく、近付く彼の、顔。
自分に優しく問い掛けてくるその唇に、思わず昨日の出来事が甦る。
華夜子の頬は瞬時に火照り、慌てて瞳をそこから逸らした。
「華夜?」
陸は不信感を増々強め、心配そうにその顔を寄せてくる。
少しだけ離れた場所から、こちらを窺っている女子達の息を呑む音が、耳元ではっきり聞こえるようだった。
いくら初めの頃に比べたら大分慣れてきたとはいえ、必要以上の妬みや嫉(そね)みはやはり避けたい。
しかし、こうして挙動不審な態度を取り続ける限り、彼は自分を憂い、こうやって体も、その顔も、すり寄せてくるだろう。
華夜子はカフェテリア中の無数の目に耐え切れず、言い捨てる。
「…は、恥ずかしい」
「え?」
「だからっ。恥ずかしいのっ」
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