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蕩けるようなキスをして
第46章 蕩けるキス
「それは…っ」
呟く彼女の背中に、陸は苛々してしまう。
「恥ずかしいとか。なかった事にしたいくらいだとか。合わす顔がなかったとか。…そう、言ったのは、誰だよ」
陸の強めの声音に、華夜子の肩が震える。
「お前だろ。お前が言ったんじゃねーかよ。そんな事言われたら、怒るって言うか、哀しいって言うか…そんな気持ちになって当然だろ」
-嬉しかったのは、自分だけだと。
-自分とのキスが、そんなに嫌だったのかと。
言った側から、虚しい思いで心が満ちてくる。
自分が発した言葉で、自分が一番傷付いている。
もう、口を開きたくない-そう、思った時。
信じられないそれが、陸の耳元に届く。
「…は、恥ずかしいに決まってるじゃない。初めてで。陸との…初めてのキスで。…しかも、女の私からで。陸はどう思ってるんだろうって。怒ってないかなって。恥ずかしくって。だから今日は、顔なんか合わせられなくて…避けてた」
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