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蕩けるようなキスをして
第46章 蕩けるキス
暫く振りにやっと喋ってくれたかと思えば、投げかけた質問の答えを待つ風でもなく、手にしたままだったスマートフォンをただ弄ぶ彼。
「…なんでって」
何も言わぬ陸の横顔に、華夜子は呟く。
どうしてって-理由は、たったひとつしかない。
「焦るって…頑張るって、何?」
返事をしようにも、言ってる意味が分からなかった。
分かるのは、彼が笑ってくれない事だけ。
分かるのは、彼が喜んでくれていない事だけ。

『華夜とのキス、俺はすげー嬉しかったよ』

言ってくれたのに。
その言葉に、いくらかは救われていたのに。
後悔しかない。
それしか、ない-…。
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