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蕩けるようなキスをして
第46章 蕩けるキス
「…昨日、ごめんね」
消え入りそうな、か細い、声。
その横顔は思い詰めているようであり。
スカートを強く握る膝の上の両手は、異様に白かった。
-昨日?
今日ならともかく。
昨日、謝られるような何かをされた覚えはなかった。
不審そうに、陸は、華夜子を覗き込んだ。
視線の合った華夜子の頬が、ひとめで分かるくらい、紅潮した。
「いきなりなんだって思ったでしょ。待たせといて、自分からなんだよって。しかも、なんの断りもなく」
華夜子は、早口に呟く。
「恥ずかしくって。昨日の事、なかった事にしたいくらいに。でも現実には、そんなの不可能で。…だから今日、合わす顔がなくって、陸を避けてしまっていた。ごめん。でも-」
-もう、しないから。
彼女のひとことに。
陸の頭の中で、何かが弾けた。
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