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蕩けるようなキスをして
第46章 蕩けるキス
部屋に着いてから、どのくらい経ったのだろう。
床に敷かれたラグの上へ、ふたり並んで、座ったまま。
沈黙が続き、結構な時間が過ぎてる気がする。
手持無沙汰となり、陸は、机に置かれたスマートフォンを手に取る。
画面を表示して確認すれば、まだ五分が経ったくらいだった。
もっと、ずっと、こうしている気がする。
この重苦しい静寂のせいに違いないのだが-左隣の彼女を盗み見する。
彼女から先に、昨日と今日の事を喋って欲しい-待っていたけれど。
一向に華夜子は、開口するような素振りを見せない。
けれど。
いつまでもこうしている訳にもいかず。
陸は遠慮がちに、声を掛けようとし、
「…ごめんね」
華夜子が、ようやく言葉を発したかと思えば、それは謝罪だった。
今日一日、自分が避けられていた事だろうか-陸は窺うように、華夜子を見る。
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