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蕩けるようなキスをして
第43章 訊きたいこと
華夜子は慣れざるを得ない状況になりつつあり、気にしない、聞こえない、見えてない振りを、少しずつではあるが習得しつつあった。
が、留以にとっては如何に親友の彼氏とは言え、一緒にいる事はそうなかったので、当然慣れてもいない。
なのに、騒ぎをまた起こされたりしたら、それは嫌だろう。
親友の気持ちがよく分かる華夜子は、大人しく立ち上がり、彼女の言葉通りにする。
「先に行って待ってるね」
留以に囁き、華夜子は本と鞄を手に、席を後にする。
こうなると陸も従わない事にはいかず。
棚に小説本を戻し、彼女と共に館外へ出る。
冬に近い秋の風が、ふたりを待ち構えていた。
冷たく、加えて瞬間強めのそれが吹き、華夜子の長い栗毛を宙に攫う。
コンタクトを嵌めた瞳にゴミが入らぬよう、細めながら、数歩先の彼の背中を追う。
程なく強い風が止み、顔に張り付いた髪の毛を払おうとし-その手を掴まれた。
びっくりして陸を見ると、握られた手はそのままに、空いた左手でそっと髪を払われる。
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