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蕩けるようなキスをして
第42章 もう一秒
「ほんと、この匂いを嗅ぐと-」
彼女の額に自分のそれを預け、陸は両眼を閉じる。
「…嗅ぐと?」
どきどきしながら。
それでも、何を言われるのだろうと気になって、華夜子は続きを促す。
引かれるかな-もっとオブラートに包もうかとも思ったけれど。
華夜子の問いに、忌憚ない自分の気持ちを陸は伝えた。
「押し倒したくなる」
「えっ!」
案の定。
彼女が短く叫び、陸は愉快そうに喉を鳴らす。
「好きな女の匂いって堪らないよな」
目を瞑っていても分かる。
これは、この世で一番、愛してる女の香りだと。
目を瞑っていても探し出せる。
ここに、この世で一番、愛してる女がいると-…。
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