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第42章 もう一秒

瞳を閉じているし。
お互いの額を寄せた近距離だし。
彼女の表情は正直、窺い知れないけれど。
でも、きっと、とても焦っているだろう事は分かる。
「離れた方がいいよ」
そんな華夜子を更に掻き立てる如く、陸はからかいを含んだそれで、忠告する。
「今すぐ、その手を俺から離した方がいい。一秒後には、押し倒されてる」
「そ、そんなの…」
華夜子は言い淀む。
彼はしない－信じているけど、でも、そんな事を言われたら。
多少は、慌ててしまう。
「抱かないって言っておきながら、結局、こんなに今は顔を近付けてるのに？」
「でも、それだけだし…」
「ここがどこか分かって言ってる？華夜」
「…ベッドの上」