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蕩けるようなキスをして
第42章 もう一秒
未だにその腕は絡めたままなので、ふたりの距離はもの凄く、近い。
「華夜に、貰って欲しい」
茶色の瞳に見詰められ。
華夜子もまた彼から視線を逸らせずに、見詰め返すしかない。
「一番にあげたいものはまだあげれないから。だから、その代わり-」
陸の右手が、彼女の後頭部へ移動した。
自らが先程留めた髪飾りに、触れる。
大学でさ-陸は優しく華夜子の髪を撫でながら、口を開く。
「すげー可愛い髪飾り。どこで買ったの?って誰かに訊かれたらさ-」
そこで一瞬の間を置き、陸は続ける。
「彼氏からのプレゼントだって言ってくれたら嬉しいな、とか…?」
ひとこと告げてすぐ、そんな自分を恥じるように陸は僅かに笑い、顔を逸らした。
-俺の、勝手な妄想。
付け足された彼の言葉が、華夜子の胸を打つ。
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