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蕩けるようなキスをして
第42章 もう一秒
強くも、握っていなかった。
嫌がる事なんて、絶対に-そんなに信用されていないのだろうかと、結構なショックを受けてしまう。
やり場のない深い溜め息を吐こうとし、しかし、その息は驚愕に呑まれる。
いつだって突然で。
いつだって結構な力で。
いつだって心の準備などなく。
いつだって抱き付かれてくるから。
いつだって抱き付いてきてくれるから。
振り切られた手は嫌だったからではなく。
振り切った手はこうしたかったからだと、気付く。
一秒。
たった一秒で、離せるかな。
本当は触れないでいるのが一番いい-そんなの、分かってる。
でも、結局、触れずにはいられなくて。
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