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蕩けるようなキスをして
第6章 好きな女
そんな事。
そんないきなり、呼べと言われても。
でも、今すぐここから立ち去りたい。
今すぐ、その手をなくして欲しい。
昨日だけじゃ飽き足らず、今日も朝から皆にすっかり見られてしまっていて。
私はあなたとは全然違うんだから。
私は誰にも見られなくていい。
あなたとの思い出と共に、ひっそりと、生きていければ、それで。
「…お願い」
華夜子は消え入りそうな声音で、呟く。
「…お願いだから」
だから。
「お願い、陸-」
だから、どうか。
もう、私を掴まないで。
華夜子の心の中まで読めない陸は、ただ初めての事に嬉しくて、約束通り桜の幹から手を、離した。





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