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蕩けるようなキスをして
第6章 好きな女
予想もしなかった事を唐突に問われ、たちまち華夜子はたじろぐ。
思わず、目が、泳いでしまう。
「…だって、友達じゃないし…知り合いって訳でもないし?ここ数日で、たまたま少し喋るようになったぐらいで、わざわざ名前で呼び合う程の仲じゃない。…その内また前の様に、話しもしなくなるよ」
だから、その必要はない-華夜子はそれで、この話題からは遠ざかりたかった。
「…それより、ほんといい加減、腕をどけて。明らかに見られてるじゃん」
通学してきた学生がさっきから横切る際に、興味津々にこちらを伺っている。
これ以上の注目を浴びるのは、華夜子には重過ぎた。
そんなのは日常茶飯事の陸は、このまま続けても全然良かったのだが、彼女が困ってる様子に条件を出した。
「呼んでくれたら、止める」
「え?」
「呼んでくれたら、手を避(よ)ける」
見詰められ、間近で迫られ、華夜子は窮する。
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