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蕩けるようなキスをして
第40章 優しいふり
「それは本人が本当に、言ってたよ。いつも大切に、優しくしてくれるって。だから自分も、それに応えたいって。あんまりのろけてくるから、はいはいって、適当にあしらってやったけどね」
食べ終えた朝食のごみを袋にまとめながら、乃愛は愉快そうに喉を鳴らした。
乃愛から伝え聞く、自分の前では見せない彼女の一面を知り、陸の胸は熱くなる。
そんな事。
そんな風に。
想ってくれてるなんて。
自分の想いが、ちゃんと彼女に届いている-その事実に。
それだけで、十分だった。
彼女への想いが更に高まり-同時に、ずっと心に引っ掛かかっているものを、どうにかしたい衝動に駆られる。
-優しくなんか、ない。
-優しい振りをしてる、だけだ。
小さな溜め息が、零れる。
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