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蕩けるようなキスをして
第40章 優しいふり
返答に窮し、たまたまテーブルの上に置いてあったお茶が視界に入った為、助かったとばかりに手に取る。
「…ね。華夜子ともう寝たよね?」
しかし。
次の瞬間の乃愛の爆弾発言に、陸は正に今、飲み込もうとしていたお茶を、危うく吹き出しそうになる。
「ちょ…!お前さ、飲み物飲んでる時に、そんな話題いきなり振ってくんなよな!」
咳き込みながらも、どうにか喉を通してやり、陸は乃愛を軽く、睨み付ける。
「別にそんな驚くような事じゃないじゃん?なんでそんな焦ってんの?」
乃愛は呆れ、不審そうに、陸を見る。
次いで、手を口にやり、あっ!と素っ頓狂な声を上げた。
「…もしかして、まだ、とか?」
乃愛の探るような双眸に、陸は返す言葉がない。
目線を逸らし、ガラス窓の向こう側の桜の木に救いを求める。
この上なく落ち着かない陸の姿に、乃愛の表情が最高に意地悪く歪む。
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