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蕩けるようなキスをして
第39章 一日千秋
華夜子の腕が陸の背中へ伸び、そっと、撫でる。
「どうしていつも必要以上に、自分を貶めるの?蔑んでみせるの?陸は全然、そんなひとじゃないよ。いつも優しい。とっても優しい。こんな厄介な私の事なんて見限って、他のひとを選べばいいだけなのに。その方が遥かに楽で、幸せなのに-」
「幸せかどうかは俺が決める事だ」
それまで黙って、華夜子の話に耳を傾けていた陸だったが、彼女のそのひとことには反論せずにいられなかった。
「言ったろ、俺の事をお前が勝手に決めるなって」
陸は強く、強く、華夜子を抱き締めて、言った。
「今まで、ごめん。華夜が、そういう事情を抱えていたなんて、知らなくて。散々、待つだ、待たないだ、困らせて。色々言ったり、したり、してきてしまった。知ってたら、勿論そんな事は、しなかった-」
「陸のせいじゃない。私が何も言ってなかったから-」
-喋ってなかったのだから、分からなくって当然だ。
苦しく-でも決して不快ではない、力強い彼の腕の中、華夜子は呟く。
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